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　レスリングの全日本選手権は22日、東京・駒沢体育館で開幕した。非オリンピック階級の男子フリースタイル92キロ級では、昨夏の東京五輪86キロ級代表の高谷惣亮選手（ALSOK）が優勝した。

　4階級にまたがり、全日本選手権「12連覇」を達成した。33歳のベテラン、高谷選手は「12年間よく走ってきた。この間にいろんな若手が挑んできて、僕も負けないように一生懸命戦ってきた」と振り返った。

　決勝は18歳の吉田アラシ選手（日大）との対戦。アンクルホールドなどで開始30秒ほどのうちに8点をリードし、2点追加すればテクニカルフォール勝ちだったが、そこから度々背後をとられるなど粘られた。12―8で逃げ切ったが、「（試合を）決めきれなかったのは課題」。安堵（あんど）の笑みを見せた。

　2012年ロンドン五輪から昨夏の東京五輪まで3大会連続で五輪に出場。全日本選手権は11年に74キロ級で優勝したのを皮切りに、79、86、92キロ級で頂点に立ち続けてきた。

　長い現役生活の中でも、今年は激動の1年だった。選手を続けながら、4月には母校の拓殖大レスリング部監督に就任。就任後間もない6月の全日本選抜選手権では教え子との直接対決も経験した。9月には待望の長男、一樺（いちか）ちゃんが誕生。筑波大大学院の博士課程に進むための学業も忙しく、練習量が落ちないよう工夫が求められた。

　「今年の1年を漢字で表すとしたら『学』。子育ての学びや、監督としてどうやって学生を勝たせるかの学びなどが凝縮された1年だった」と振り返る。来年は86キロ級で24年パリ五輪を目指しながら、大学院で1988年ソウル五輪柔道女子52キロ級銅メダリスト、山口香教授のもとで「大学スポーツ資源を生かした地域スポーツの活性化」をテーマに研究する予定だ。「この1年で学んだことをまた来年に生かして頑張っていきたい」。さらなる激動の日々も、望むところだ。【高野裕士】